摂食障害の人にとってコミュニケーションが大きな課題

わぁ、まさかメールしてきてくれるとは…めちゃくちゃうれしい///
もう忘れられてると思ってた。

いまのメールで過食がピタリと止んだ












◇対人ストレスと暴食の関係について

○まとめ

過食がひどくなるのはストレスが増大したとき。
だとすると、過食を抑えようと思ったら、過食をやめようと頑張るんじゃなくて、
ストレスのルート変更を行えるよう努力
する




<過食を伴う拒食症の由里さんの治療>


「」あり…カウンセラー


「」なし…由里さん(患者)







「前回からお会いしてからいかがですか」



過食がひどいです。
やっぱり私は怖くて食事が取れない。
無理やり食べると不安になって、そのまま過食になっちゃうんです。
先生、何とかしてください。



「今まで、お母さんに何でも先回りして決められて、それで自信がなくなってしまった
 ということはお母さんに伝えられましたか?」




過食がひどくて、母もカリカリしていて、とてもそんな話が出来る状態ではありませんでした。
やっぱり過食を先に治さないと。



「伝えようとはしたんですか?」←過食そのものについての話題に移行するのを絶妙に阻止して、過食の本当の原因について内観させている


すぐに過食がひどくなってしまい、それどころではなかったんです。


「伝えようと約束したことは覚えていますよね?」


はい



「どうでしょう?お母さんには話さなきゃ、と思ったことがプレッシャーになって
 過食がひどくなったような感じはありませんか?」


…わかりません。



「今までの事をお母さんに話すというのは勇気がいることだと思いますけれど」



…はい


「前回、お母さんに話します、とずいぶん簡単に約束してしまって、後悔しませんでしたか?」



…はい、しました。
病院を出て、家が近づいてきたら、とても不安になってきたんです。
あんなこと話したら怒られるんじゃないか、でも先生と約束してしまったから話さなきゃ、
と思って、いろいろ考えているうちにイライラしてきて、
スーパーでお菓子をたくさん買って、家に帰ったら、すぐに過食してしまいました。



どうしたらいいかわからなくなると過食になってしまうみたいですね。
 その結果として過食がひどくなっているんだから、
 これはよくないパターンですね。
 もう一度、お母さんへの伝え方を一緒に考えてみましょう」





■対人関係の問題も扱わずに過食を「何とかする」などというのは不可能??



最初に由里さんが「先生、何とかしてください」と訴えてきたときに
そのまま由里さんのペースに乗ってしまうと、
いつまでも治療の本筋には戻れなかったでしょう。


それどころか、対人関係の問題も扱わずに過食を「何とかする」
などというのは不可能なことですから、
何も出来ない治療者に患者さんは不満を募らせることにもなるでしょう。




対人関係療法では、症状とはストレス度の現れであり、
ストレスが高まる症状もひどくなる、という前提で治療をしています。







■病気は対人関係を楽にするチャンス


摂食障害の人にとってコミュニケーションが大きな課題だということは
ここまででお分かりいただけたと思いますが
そもそも摂食障害の症状そのものが
一種の非効率的なコミュニケーションであることに気づかれたでしょうか。


拒食症の人は、自分の辛さを「痩せること」で表現しています。
過食症状を持っている人は
対人関係のずれに直面したときや、トラブルに見舞われようとしたときに、
症状がひどく出ます。


本当は言葉で「辛い」と表現したいのに、
それができないために、代わりに症状がそれを語ってくれるのです。


前述の由里さんのケースも、
「母に伝えるなどと言う課題は自分には荷が重過ぎる」ということを
言葉で伝えられないために、
過食と言う症状の悪化によって訴えようとしていたのでしょう。



言葉で表現すると言うことが摂食障害の人は恐ろしく下手です。










参考文献:(拒食症・過食症対人関係療法で治す 水島広子 紀伊國屋書店




拒食症・過食症を対人関係療法で治す

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