人間の温かさを知らない摂食障害者




◇はじめにーー自分を守るための過食


過食はストレスの高さを示すものであると同時に
現在何とかバランスをとるための自己防御反応です。

治療においては過食と言う不健康な方法でバランスをとる必要がなくなるように
ストレスの解決を目指していきます。











◇気持ちを溜め込んでしまう理由






■感情を抑えたほうが丸く収まる??



・「意見の対立=関係の崩壊」という刷り込み


自分の気持ちを話すことによって起こるトラブルを恐れる気持ち。
「いい人」でいようとする摂食障害の人は
”他人からどう思われるか”という不安を持っているのと同時に
人間関係での対立が怖い、ということもあります。



人と意見を闘わせることによって問題を乗り越えたり
深い関係をつくったりした経験がないので
「意見の対立=関係の崩壊」と考えてしまうのです。


自分の意見を言うことが生産的な意味を持つというイメージがうまくわきません。
身近な人からそのようなプラス例を学んだことがないという人が
殆どです。




たとえば
父親が決めたことは誰かがおかしいと思っても
反論が許されなかった、というような家庭環境もありますし、
両親のどちらかが何かを言うと必ずひどいケンカになり、
人格攻撃へとつながって
何もプラスの結果をうまなかった、などというケースもあります。









■創造的な関係を知らない



摂食障害患者は対等な創造的な関係を知らないことである。
人と自分が対等にやりとりすることで問題が解決されることや
何かが新しく生まれてくることの意味や価値を
患者は知らずにおり、
ただ、人間関係で相手の関心を買おうとするだけである。


患者の家庭では
両親が協調し合って家庭を創造する行為が見られなかったようであるが
そのような家庭の文化的状況のもとにいる患者には
同世代者と対等に付き合うことがわからない。




このような家庭環境にプラスして
回避性の性格傾向が強い摂食障害者は「声をかけて欲しい」という期待感が
傷つくことを避けるために「求めてはいない」というポーズを示す。
これは、期待を裏切られる結果に耐えられるように予防線を張るものである。
しかし、そのため、患者は人からこえをかけてもらえなくなり、
ひとり浮いて寂しい状態になる。





そのためか、
摂食障害になる要素を持っている人は
人と人との間でストレスや不快感情を癒すことが出来きない。












◇おわりにーーネガティブな自分も自分






■過食を抑えつけない




過食嘔吐をやめれば病気が治るーーそんなふうに思っている人は多いものです。




たしかに、過食嘔吐という症状は辛いものなので、何とかしたいと思う気持ちは
わかります。しかし、この病気はそんなに簡単なものではないのです。


しかし、治療のプロセスが進むまでは、もうしばらく過食の力を借りる必要があるのです。
まずは、今まで過食嘔吐をすることで何とかやってきた自分を認めてあげるところが
出発になります。






過食嘔吐をがまんさせようとしない



過食(嘔吐)という症状は
患者さんが伝えられないストレスを代弁するものです。


過食嘔吐があるから、何とかバランスを保っていられる。
だから、むりやり取り上げるのは新たなストレス、というか、不器用な患者さんは
結果的に過食嘔吐が悪化するだけです。




ネガティブな状況でネガティブな感情を抱くのは
人間として当たり前の事だ、ということをまず認識する必要があります。

これを否認してしまうと、感情はふたをされたところで蓄積します。
その一つの爆発の形が摂食障害という病気です。