過食症という病の本質=コントロール感覚の喪失
過食とは何か?
それは「食欲の問題ではなく」食べ過ぎてしまう、ということである。空腹ではないのに、大量の食べ物を、短時間に、苦痛で仕方がないのだが、じぶんでそれを止める事ができず、
コントロールを失って食べる。
(裏切りの身体ー「摂食障害」という出口ー 富澤治 エムシーミューズ)より参考引用
◇食欲が暴走=自分で自分をコントロールできない
■「食べる量」は「過食症」とは無関係!?
過食とは、どれだけ食べるか?という量の問題ではなく、「食欲を自分でコントロールできない感覚」を患者が持ったときにそれは「食べ過ぎ」から「過食しちゃった…」にかわる。
つまり、過食症の病理について突き詰めてみると、食欲が大勢で食べる量が増えることではなく、「自分で自分の食行動をコントロールできない”感覚”」という感覚の問題なのであってそれは、コントロール感覚という言葉に集約される。
だから、クッキー2枚でも「過食しちゃった…」と自分をコントロールできないことが過食症という罪悪感を生むのである。
食べる量に問題があるのであれば、「ご飯を一食に4合も食べる人はすべて過食症」という定義が生まれることになるが、たとえば、力士の方々はもっと食べているだろうけれども、
彼らが自分の事を「オイドン、過食症なんです」とは言わない。
それは、自分が食べたい量を自分である程度コントロールして、おなかと胃腸との対話の中で自分で自分の食欲をコントロールできているからである。
だとすると、過食症の病理を構成しているものは、「食べる量」ではなく「自分の食欲を抑えられない、自分の食欲が分からない」ことなのである。
つまり、過食症というのは「沢山食べてしまう(食べる量の問題)」ではなく、「食欲をコントロールできていないと感じる自分がいる」というコントロール感覚の喪失が本質であると結論付ける。
■治療の本質
「コントロールできていない…」と感じるから「食べ過ぎ」ではなく「過食症」という感じ方になるのであって、決して、食べ物の量を一般の健康な人と比べても何の意味も無くて、「コントロール感覚をどう取り戻すのか?」ということが
治療の本質であって欲しいと願う。
裏切りの身体-「摂食障害」という出口-(M.C.MUSE ARCHIVE 2)
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