「正しい子育てを学ぶ・正しい恋愛を学ぶ」って、なんか、寂しい時代だなぁ

・PCITという親育て


最近日本でも紹介されているPCIT(parent-child interaction therapy)という治療法がある。
これは親がイヤホンを通じてモニター室からの指導を受けながら子供と一緒に遊ぶという治療法である。

DV被害に遭った母子等がこの治療法を受け、その効果が知られている。

そこで最も強化されるスキルが、子供を褒めると言う事と、
セッション自身をいかに楽しくすると言うことである。

そしてそれを指導者が親に対して同じ事をする、という形で促す。
つまり指導者がワンウェイミラーの向こうからは親の動きを見守り、
マイクを通して母親のヘッドフォンに向かってそのパフォーマンスを褒める。

引用元:
心理療法カウンセリング30の心得 岡野憲一郎 みすず書房
















◇コミュニケーションは学問!の時代


上記のPCIT、あるいは大学の授業で恋愛や婚活が教えられている時代。




PCITは要するに、親と子のふれあいを親子関係の専門家みたいな人たちが、
親としてあまりにも未熟な人たちが多いので、
親に「こういう場面では、こういう風に接してあげてください。それが正しい愛着を生み、お子さんの健やかな成長に寄与します」という
プレイヤー(親)と監督(専門家の人)みたいな関係性になっているのだと思う。


一方で、恋愛や婚活も
「こういうアプローチをすれば人間には効果的です。男女の性差を考えれば、正しいアプローチなのです」
みたいなもの、プレイヤー(生徒)と監督(教授)の関係になっていて、”正しい方法”を教えている。





■人付き合いを大人から学べないので教科書が必要


子供のためを思えば、専門化の人たちが積み上げてきた研究に基づいて、
「子供の成長にプラスになる接し方のタイミング」っていうのは、きっと存在していて、
それを教えてもらえることは凄くいい事なのかもしれない。


ただ、心情としては納得できない。


子供や異性との接し方ってのは土台となるのは親と親の関係とか、親と友達の親の関係、
あるいは親とおじいちゃんの関係とか、そういう「周りの大人の型」であるはず。


それがうまく伝達されていない、あるいは、間違った(子供に有害、異性に嫌われる)コミュニケーションの型が
大人から子供に伝わってしまっているのは、非常に悲しい世界だと思ってしまう。





しかも悲しいことに、どれだけ「正しいコミュニケーション」を知識として後学して、
それを実践できるようになったとしても、本当にキレイな愛着を形成して育ってこれた人たちと比べると、
どうしても不自然と言うか、重要な場面で愛着の腑形成が邪魔をしてきて、
人間を信じられなくなったり、愛してくれている人の愛をかんじられないっていうことが起こってきてしまう。


だから、たとえ、
「自分はアダルトチルドレンだ。だからこそ、自分の家庭、子育ては、自分と同じ辛い思いはさせないぞ!」
などと意気込んでみても、キレイな愛着ではなく、後から学んだ知識で自分を正しい方向に是正しようとしても、
自分が親から受け継いだパターンに否応無くひきつけられてしまい、アダルトチルドレンを再生産してしまう。



なので、PCITが効果的な方法であるならば、親(あるいはその周囲の人)が、
「私の子育ての方法は間違っている。このままだと子どもも不幸になる。だから、指導を仰ごう」
っていう親が親自身の弱さを、愛着が形成されてしまうといわれている6歳前に治療を求めてることが出来るかどうか、
だと思う。


ただし、未熟な人間ほど、「自分が未熟だ」などと認める事はできないのが世の常であるのだが…。









■豊かな人付き合いは人との摩擦の中にある



子育ても恋愛も、何か人との付き合い方を形から学ぶのは
人付き合いを避ける、他人との摩擦を避ける技術が発達してきた代償なのかもしれない。


あるいは、技術の発展によって他人と摩擦を避けて生きれるから、人間関係で傷つくことに免疫がないので、
「失敗したくない、キズツキタクナイ、傷つかずに何か良いものを手にしたい」という欲求が強くなっているのかもしれない。




ただ、そんな府うにコミュニケーションが豊かでない親と一緒に育つ子供は、
やっぱり人付き合いで悩む子を生み出してしまうことになるだろう。


なぜなら、人付き合いは人付き合いにもまれる中で、色々な人が居るんだという事を身をもって体感して、
時には傷ついて、学んでいくものだと思うから。



だからこそ、「人付き合いを避ける」という親のパターンを受け継がせないためにも、
親が自分自身の弱さを受け入れていくことが、親子の幸せに繋がっていくような気がする。






心理療法/カウンセリング 30の心得

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