「話したいけど話せない…」を包み込むカウンセリング


◇「聞き出さない」という優しさ






SP革命前日 笹本の包容力から学べること

笹本:「お前は何でSPになったんだ?」


井上;「ずっと居場所が無いって感じていたんです」   

井上:「自分にぴったりくる場所を捜し続けてて
    やっと見つけたのがSPだったんですよ。
    だから、辞めたくても辞められないっていうか。」


笹本:「ふーん、」

笹本:「居場所が見つかって良かったな。
    お前幸せだな。」



井上:「そうすっか」


笹本:「うん、間違いねえよ。」


■「気持ち」を肯定してもらえれば救われる


井上は、子供のころから色々あったから居場所がなかった。
その理由は政治家の人気取りのために両親が犠牲になった場面を
幼い時に目撃してしまったからだ。


ただ、そのことは同僚には話していないし、なるべくなら話したくない。
しかも尾形への予感もある。



笹本を信頼して無いというわけではないが、
信頼とかとは違う意味合いで、感情や考えが働いて、打ち明けることができない。


だけども、誰かに話したい気持ちは、26年間、抱えてきたはずで…。
(確か最初のお見合いのシーンで井上は26歳と自己紹介していた気がする)




そういう井上の複雑さを笹本は包み込んでいる。




①子供の頃にひどい経験をした

②虚しさや居場所の無さは幼少期の経験に起因している。

③SPになった

④SPという仕事を通して自分が癒されていく感覚がある

⑤だから、「居場所が見つかった」という言葉が出る


「居場所が無いように思ってきた」という言葉は
普通の同僚や友人関係にある人に話してしまえば、
「何それ?」と突き放されるか、
「どうしたん!なにがあったの?私でよかったら話してごらん!!」と、事情を説明を求められるだろう。



ただ、笹本は、井上の人生の①〜④を知らずとも、
⑤の「SPをすることで居場所が見つかった」という井上の気持ちを、
しっかりと受け止め肯定している。事情を聞きだすこともせずに。















「その時の話し手が大切に思っていること」として
相手の歩んできた道を尊重すれば、
「それを大切に思っているという現実がある以上、何かの理由があるのだろう」と考えてみることができる。






まとめ



「何があったのかは話したくないけど
 何かがあってつらくなっている自分を認めて欲しい」
という心情は、何もカウンセリングルームに通う人が持つわけではない。
だれもが、「事情」は隠したいけど「気持ち」を肯定して欲しいと思うときはあるだろう。


そんなとき、笹本のように、


「何があったかは聴かないけれど、そういう風にあなたが思えているのは
 あなたの人生においては正しいよ」


という肯定をしてもらうと、救われるのでは。





「どういう理由があるかは知らないけれど
 それなりの理由があってそういう言葉が出てくるんだから
 そのことはあなたの人生においては、大げさでも特殊でもなくて
 ごく、自然なことだよ」


という肯定。



全ての話を受け止めて相手を解放してあげることが優しさであるならば、
何も聞かずに傍にいる事、あるいは、「居場所が見つかってよかった」という、
相手の心からの声を否定せずに肯定してあげることも、また人間の優しさなのではないだろうか。














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