精神科医の栄養療法 佐藤安紀子


精神科医の栄養療法 佐藤安紀子 BAB JAPAN)より












◇虐待やPTSD,SADが思い当たらないのなら…




○ケース9 摂食障害

摂食障害は、20年ほど前までは
若い女性特有の神経症」といわれていましたが、
近年は30−40代にも、
また、男性にも見られることが珍しくなくなりました。

そして、従来は母子関係をはじめとする身近な対人関係のあり方に
問題があるとされ、長期的な心理療法が必要で、
それでもなかなかよくならないケースも多いことが体験的に知られていました。

もちろん、心理面の関与も大きいのですが
摂食障害になる人は胎児時代の母体の栄養状態(酸欠状態を含めて)が
悪かった例が多いことも分かってきています。

また、栄養障害による血糖値の急激な変動が心身の状態を
不安定にしていることが、分子整合医学では知られています。


このため、栄養改善による身体的アプローチが治療に有効だと考えられています。

5.カロリーについて


栄養療法に凝られる患者さんへのアドバイスでは
「十分な種類と量の栄養素を摂ること」を最優先にしており、
カロリー制限はどちらかというと二次的になります。



「高タンパク質・低糖質」の食事を実行していると、
適度に筋肉量が増えてきます。


このため、一時的に多少体重が増える時期が見られることが
ありますが、筋肉量が増えれば、
それに伴って基礎代謝率もあがり、
カロリー消費量も増えるため、
自然に体重が落ちて健康的にダイエットできます。







食べることに関する問題は「過食」と「拒食」の両側でした。
太りたくないから食べない、
でも食べないで我慢しているといずれ我慢も限界となり過食をしてしまいます。





食べることを我慢し続ける限り、低血糖になり、そのあと必ず過食になります。
この場合、食べることが過食を治す近道なのです。



食事指導として、まず
「食べたくなくても食べる」「過食は我慢しない」という指導をしました。


過食そのものは
誰でも治療を始めてすぐに収まりません。


過食をする場合にも甘いものではなく
まずはタンパク質や食物繊維などを選んでもらうようにしました。







治療一ヶ月後ほどで過食の回数が減りました。
3ヶ月ごの再検査では過食嘔吐はすっかりなくなっていました。



おなかが空く前に食べることを指導されたことで
「食べていいんだ」と思い、気持ちが楽になったそうです。
















精神科医の栄養療法―今日からすぐに実践できるメンタルケアのための栄養レッスン

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