聞いてもらうだけではストレスの源は解決されない


過食症は「心の病気」か?

過食症は、一般的に「心の病気」と言われています。
心の問題が原因で、常識では考えられない量の食べ物を食べてしまう、
場合によっては食べたものを全部吐いてしまう、
などの症状が起こるとされています。

しかし、過食症は本当に「心の病気」なのでしょうか?

心理カウンセリングなどによって過食症の治療を行っても
必ずしも改善に結びつかない。
気持ちは楽になったとしても、過食や嘔吐は直らない、
という患者さんが大変多いのです。

(なぜあなたは食べすぎてしまうのか 矢崎 智子 東京書籍)













◇病的な状態にさせるストレスは過去からの呪縛



ファシリテーターのような治療者が必要な場合

一般的なカウンセリングは、
カウンセラーと患者様の「理性」の部分でのやりとりが主で、
話を「聴くこと」を重視し状況によってアドバイスをするという場合が多いため、
聴いてもらうことで気持ちが楽になるという利点はあります。


しかし、トラウマや偏った思考・行動のくせ、
あるいはどうしても〜できない、などという状態は、理性の奥深くにある潜在意識の中で、
様々な不協和音が生じているために起こっている事で
「わかっているけどやめられない!」という悪循環になっているため、


カウンセリングだけでは非常に限界があります。



ファシリテーションっていうのは
僕もあまりよく分からないけれども恐らく、
患者の言葉の裏側にある要因を引き出して、
間違った価値観を作っている出来事の捉え方を
楽な方へ導いてくれる、見たいな感じなのだと思う。


誘導療法、催眠療法、みたいなイメージ。









■「無意識」に支配される「意識」の不思議



・潜在意識=記憶の図書館のようなもの≒スキーマ
・顕在意識=「あの人、なんだか苦手なんだよなぁ」など





6歳以上になると、意識が二つに分かれる
(右脳メインから左脳も使い始める)



6歳ごろまでは、潜在意識と顕在意識を分け隔てることなく使っている。
しかし、6歳を過ぎる頃になると
潜在意識と健在意識の情報が混ざりあわないように、間を仕切るフィルターが
出来上がって
簡単には行き来できないようになってしまいます。


子どもが大きくなってだんだん顕在意識を多く使うようになるに連れて
潜在意識はフィルターで仕切られ、普段の生活では
なかなか意識の表層に登場しないようになるのですね。


そうなると、6歳までに体験したことで記憶されていない出来事は
潜在意識の中に潜んでいて、簡単には出てこられないように成ります。



その潜在意識の部分で
あなたの精神活動に深くかかわるデータがおさめられているのです。


潜在意識は、自分自身を知る巨大な図書館のようなもの。
自分自身の取り扱いに行き詰ったときは右脳からつながる潜在意識に
アクセスすると、新たな自分を発見できるヒントが
見つかるかもしれません。





■大人になっても影響する”6歳までの心の傷”


自分で意識してアクセスできない、といっても
心の領域の90−95%を占めている潜在状態。


外から意識的にアクセスするのは難しくても
内側から普段の意識に常に影響を与えています。
たとえるなら、潜在意識は思考を生み出す発信源、つまり、
心のスクリーンに映像を映し出す映写機のレンズのようなものだと
考えられます。


映写機のレンズに傷がつくと、スクリーン上に映し出された映像は
常に同じところが虫食いのように黒い傷で見えなくなります。


こんなふうに、潜在意識に刻み込まれた傷は
大人になっても常に意識に投影されることになります。









過食の源にどう対応するか





■過食の効用


過食はストレス度を示す。同時にストレス緩和するために身体が考え出した自己防御反応でもある。
決してストレス解消にはならないのですが
とりあえず苦しみに直面しなくて済む、というその場しのぎの効果があります。

ですから、過食と言う手段を奪うことは
安全を奪うことになります。


あるいは過食をしていることを徹底的に隠すようになります。

今でもひどい過食症上に苦しんでいるのに、
家族はとっくに治ったと思い込んでいる、などというケースにも
しばしば出会います。

こういうケースは
過食の事実のみならず、自分の気持ちなども全て隠していますから、
困ったことになっても家族には全く相談しないのです。


過食のおかげでそれなりにばらんすがとれているのですから、
過食に感謝こそすれ、忌み嫌う必要はないのです。





■聴き上手ではなく「導き上手」な治療者を


その方が抱えている問題の原因となっている出来事や感情等を具体的に明らかし、
脳の記憶や感情に関係している部分に働きかける手法でネガティブな感情をゼロにすることにより、
ご本人の自然な変化や気づきをもたらし、何の苦痛も努力も必要とせず望むとおりに考え方や行動を変えなければ


ご自身が希望される状態に向けての思考や行動の変化が始まり、“治る”ことからさらに
数ランク上の状態にまで到達することができます。



















■ある症例紹介


過食症から脱却ーー28歳女性の場合



1年前から過食を繰り返すようになってしまったKさんです。
半年前、職場結婚をしたご主人ともうまくいっているし、育った家庭環境も穏やかで何の不自由もない、
自分でもどうしてかわからないとのことでした。仕事を終えて帰宅した時、ご主人が帰ってくる前に、
コンビニで買い込んでおいたお菓子の山をひたすら食べてしまうというのです。



ストレスの原因を探っていくと、
職場で誰にでもいやな顔をできず、Noと言いたくても言えず、
笑いたくないときでも無理に笑顔を作ってしまうのに友達もほとんどいないことに疲れてしまい、
家事もする気になれないという状況が明らかになりました。


具体的には



「同僚Aさんが苦手だということ、
その人にもなんでもない顔をしているのも苦しい」


というので、


まずそれらの苦痛を取り除くための言語化とタッピングを行いました。
また、治療前は指先で測る酸素濃度が96%と低かったのですが、
終了直後には98%と上昇し、血液循環の改善も認められました。


その後過食の程度は少なくはなりましたが、まだ日によってむらがあるということで2回目の治療を行いました。
今度は、ご主人の事が糸口になりました。自分とは正反対の性格だというのです。リーダー肌で、友
達も多く、Noという時もはっきり言うのに彼を慕う人が多くて仕事もプライベートも楽しそうだと・・・。


色々聞いていくうちに、Kさんはそういうご主人をうらやましいと思い、
自分は到底その輪の中に入れないしそのことが寂しい、
またその奥底にはご主人への嫉妬心や劣等感があることがわかりました。





過食はそういった心境から逃れるための行動だったのです。
食べている時だけは、夫に対する自分のいやな気持ちを感じなくてすむのでした。


これがKさんの過食の本当の原因だと感じたため、言語化とタッピングを行ったところ、
先ほどまで強く感じていたご主人へのコンプレックスや嫉妬心は完全に消え、表情も明るく生き生きとしてきました。



2週間後に再来され、
「あれから過食が全くなくなりました!」
「それから、主人に対して思っていたことも全部話して、彼の交流や活動にも一緒に参加してみようという気持ちになりました。
職場でも前より気分的に楽に過ごせるようになりました。」
と嬉しそうに話された様子がとても印象に残っています。