なぜ過食症の過食は満足感を得られないのか

独り暮らしで認知症になっても、自分らしい生活を続けたい。
タエさん(78)は、そんな願いを持って
診断後も住み慣れた自宅で愛犬と寄り添って暮らしている。
その日々を支えているのは、地域の住民と医療福祉関係者の連携プレーだ。


(中略)


ただ、大問題なのが『食事の管理』だ。
食べたことを忘れ、ヘルパーが一日分として調理し
小分けにしておいたものも夕飯前に食べてしまう。
自分でご飯を炊飯器いっぱい炊き、1日でたべてしまったこともああった。
体重も笛、持病に悪影響を与えかねないことから
ヘルパーらが連携して
食べ物を隠す”秘密の場所”を考案。
「棚の奥」「コンロ下」「鍋の中」と工夫したが
それでもタエさんは見つけてしまう。

(読売新聞/2012.5.4)より抜粋














◇食事で満足させるべきなのは??






■満腹と満足と満タンは違う


認知症の人が
食べたことを忘れて
食べ過ぎることがある。


その一方で
摂食障害の人たちのように、
ちょっとでも自分が思い描いている食事量を超えると
「食べ過ぎた」と感じ、激しい自己嫌悪に襲われる。



こんなふうに考えていくと満腹とは
胃の定量に対しての割合ではなく、
「どれだけ食べた気分」になっているか、どうか?
ということが言えそうだ。



つまり食欲というのは
おなかの満タン具体、ではなく
気分がどれだけ満たされているか?ということ。

於カナにどれだけ食べ物が滞留していて
カロリーになっているか、エネルギーになっているか?は
あまり関係ない。


食欲とは記憶であり気分なのである。
胃腸にどれだけの食べ物があるかどうか?ということではない。



食べたくなるというのは
胃腸の状態ではなく記憶や気分、つまり
脳の働きがかなり影響している。




◇ストレスと食事と満足




摂食障害になる人とならない人の境目



摂食障害を発症してしまうのは
ストレスと脳のホルモン分泌異常が関係しているのです。


ストレスを感じたときCRFが、脳内、
特に視床下部で多く分泌される。



CRF=コルチコトロピン分泌刺激因子が
摂食中枢と満腹中枢に影響を与える。

CRFが低分泌→食欲増加→過食(ストレス食い)
CRFが高分泌→食欲抑制→拒食傾向








■痩せが止まらない


胃腸という器官は、筋肉でできています。
痩せが強すぎると、腕の筋肉が落ちるのと同様に
胃腸の筋肉も落ち、正常の消化運動も低下します。


胃の筋肉の運動を胃電図という検査で拒食症患者は
胃の運動の頻度や大きさが低下していることがわかります。


また、胃から消化された食物が腸に移動する働きも低下しており、
腸の運動も悪く、便秘もよく併発します。









■気分と脳を満足させないと”満腹”にはならない



太りすぎず、痩せすぎず、自分らしい、いい感じの身体であるためには
つまり過食にならないためには、心、脳、とくに前頭葉を満足させることが大切です。


人は、おなかがすくから食べるだけではありません。
哀しくて食べ、怒って食べ、退屈しのぎに食べるものなのです。



過食嘔吐をする人は
胃が食べたくて食べるのではなく
心の虚しさを生めるために口を満たし、
その後、太るのが嫌ではいてしまうのです。

過食になるのは
脳のセロトニンというホルモン状態に変化が起こり、
精神的にイライラするからだと言われてます。



ダイエットでしばしばいわれるように
食欲の中枢は脳の満腹中枢と摂食中枢。


確かに脳の視床下部にある満腹中枢、摂食中枢は、食欲の中枢です。
しかし、、いくらゆっくり食べたり、こんにゃくで胃を満たしても
何か物足りない、というのは、食欲中枢よりさらに高度な食欲の
総合指令中枢である「大脳皮質前頭葉」が
満足していないのです。


胃が、もうおなかいっぱいでも、何か不満足、
というのは、大脳皮質前頭葉が満たされていないのです。


こんにゃくなんて飽きちゃったわ、と前頭葉が感じていれば
何か物足りなくなるのです。


これが「ストレス食い」の原因となるのです。



前頭葉が発達した生物ほど、たんに「胃がいっぱいになる」だけでは
満たされないといえるので、こんにゃくやダイエットフードだけ食べてダイエットできると言う人は
いってみれば、前頭葉があまり機能していない人かもしれません。



ダイエット食品でダイエットしても、リバウンドしてしまうのというのは、
きわめて人間的な前頭葉の証明なのでしょう。